少し前の話になります。
2017年の年越しは、母の救急搬送先の病院の待合で過ごしました。
母は急性膵炎と診断され、なかなか重篤な状態でした。
医師に「命の危険のある病気です。ここ48時間がヤマです」と言われて
頭が大混乱したのを思い出します。
そういう重篤な状態だったにも関わらず、
救急車を呼んでから、サイレンが聞こえてくると
母は突然歩き出し、玄関に仁王立ちで救急隊員を迎えました。
まさか病人が仁王立ちとは、夢にも思わなかったことでしょう。
隊員さんが「患者はどちらですか?」がおっしゃって、母の肩越しに
「すみません、この人、母が具合が悪いんです」と私。
軽症なのに救急車呼んだみたいで、かなりバツが悪いです。
母は担架に乗せてもらうなんて思ってもいないようで
担架を避けて、救急車に向かってスタスタ歩き出しました。
ほんの少し前まで、「痛い、痛い」ってうずくまっとったやないかぁ!
救急隊員さんが私に小声で、「認知症がありますか?」とおっしゃるので
「受診していませんが、初期の認知障害を起こしていると思う」と伝えました。
隊員さんは上手にあやしながら手当し、搬送してくださいました。
あとからご近所の方に伺うと、うちに救急車がやってきたのを見ていたら
母が立っているのが見えたから、ああ奥さんじゃないなら安心だと思ったとのこと。
帰省してきた息子か娘が倒れたのだと思っていらっしゃったそうです。
病院で処置していただいて、そのまま入院となりましたが
少し痛みが落ち着くと、「もうおうちに帰る!」と騒ぐ始末。
病院側にも「娘さんも泊まっていただけると助かる」と言われました。
すっかり認知障害が進んだなぁとがっかりしていたら、
「これはせん妄ですから、落ち着けば元に戻ります。
こんなふうになっていることすら、お母さんは全部忘れてしまいますよ」と
医師が教えてくださって、すごく心強かったのを覚えています。
この入院が、母のお世話をするに当たり、ターニングポイントになりました。
続けて明日も書いてみようと思います。