認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

高齢者の自己肯定感を高める

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母はいつも図書館で紙芝居を調達し、子どもたちのもとに向かいます

 

2017年の暮れに入院するまで、母は30年以上
市を介して、視覚障害者やALSの方に朗読奉仕をしてきました。
昔はテープレコーダーで朗読を録音していましたが
近年は対面朗読が主でした(伺ったお宅で録音されていたそうです)。
休憩を挟みながら、1回につき2時間ほど。
難しい内容も多く、本は重く、母は次第に
自分ができなくなっていることを痛感していたようです。
退院したあとに「もう体がきついと、市の方に相談すればいいよ」と言うと
少しホッとしたように見えました。

並行して子どもたちへの読み聞かせも行っていて、こちらは今後も続けたいそう。
以前は長く児童養護施設に。施設が閉園したあと、現在は保育所3カ所に。
87歳で、歩くと膝が痛む、少し歩けば息も上がるというのに
バスに乗って、3カ所の保育所に月に2回ずつ通うのは
子どもたちのことが大好きで、
喜んでもらうことが嬉しく、誇りだからだと思います。
読み聞かせのみならず、子どもと歌ったり踊ったり、またお手玉を披露したり。
ちょっとお山の大将みたいです。
なにか自分が忘れても、「次なんだっけ?」と尋ねると
子どもたちが「お手玉だよ!」と
元気にフォローしてくれるのがまたうれしい。
子どもは「忘れたの?」「ボケちゃったの?」なんて言いません。
あるのはいつも圧倒的なリスペクトです。
その笑顔を通じて、自分が必要とされていることを感じて
嬉しくてたまらなくなるのかな…と思います。
いつもエネルギーを充填して帰ってくるようです。
「自分は誰かの役に立っている」という実感は、
生きる上でのとても大切なモチベーションになります。
なにも高齢者に限ったことではありません。

たとえば、私が帰省して家のことをたくさんやって
「ありがとう」と言われるのはうれしい。
けれど、母が「ありがとう」ばかり言っていると、
それはそれでしんどいんじゃないかと気になります。
「今までがんばって生きてきたんだもの。
年を取ったらラクしていいんだよ。娘が家のことをやるのは当たり前」
くらい開き直るのでちょうどいい。

母の自己肯定感をしっかり高めたいなと思います。
そのためには
「娘はお母さんがそこにいてくれるだけでうれしい」を
私の行動でしっかり伝えること。
もしも母にできないことが増えたとしても、物忘れが多かろうと、
片付けができなかろうと、そんなことはちっとも問題ではない。
そこにいるだけでよし、生きているだけで丸儲け。
できること、できたことを数え上げ、盛大に喜ぶ毎日がいいなと思うのです。

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母の読み聞かせ七つ道具。
紙芝居のほかに、タンバリンやスズ、お手玉、お人形を持って行きます。