認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

高齢親に「今、ここ」と愛を伝えるのだ

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介護帰省を始めた頃は、実家リビングにたくさん賞状が飾ってありました。
平成の初め頃から、最近では3年くらい前までに母がいただいたもので、
軽く20枚はありました。
きっと訪ねてきた方にさりげなくアピールしていたのだと思います。


母は長年、地域でボランティア活動などを続けてきました。
20年にわたって民生委員を務めてきたのもそのひとつだし
今も続けている保育所での読み聞かせもそう。
視覚障害者やALS患者さんに代わって本を読む朗読奉仕も
30年近くやってきたことです。
ほかにも、地域のご婦人方で集まり市政モニターをしたり、
学習会を定期的に行ったり、留学生たちと地域の人の交流を図ったり、
地域のボランティア団体を組織して、根付かせていったり、
いろんなことをさせていただきました。
おそらく私は、そのほんの一部しか把握できていないだろうと思います。


母は、たくさんの賞状を飾ることにこだわっているようでした。
それは、人様から評価していただいた証です。
素晴らしいですが、賞状は全ては過去のものであることが、私は気になりました。
もしも他人の評価が、過去の誉れが、母自身のアイデンティティになってしまったら
この先、年齢と共にできなくなることが増えれば、
母の自己評価はどんどん下がらないか?
自己肯定感が低くなるのではないかと気になりました。
賞状を大切にするって、「今、ここ」じゃないよなぁ


ある日、なにげに賞状の額を掃除しながら、母に話してみました。
「お母さんのいただいた賞状は財産だね。
こんなに人様に認められたり、感謝されたり、おかあさんは本当にすごいね。
そんなお母さんはフクの誇りだよ。
でもね。もしももしももしももしも、この賞状が1枚もなかったとしても、
世界中のだれひとり、お母さんを褒めなかったとしても、認めなくても、
私にとっては世界で一番のおかあさんで、自慢の母で、
大好きで大好きでたまらないから忘れないでね。
お母さんがもしもなんにもできなくてもいいんだよ。いてくれるだけで最高なの。
代わりはいないの。
そこにいてくれるだけでフクにはとても大事なお母さんなの
お母さんはいるだけで素晴らしい人なの。本当よ。忘れないでね」

おそらく、その時をきっかけに
母の賞状への執着が軽くなったような気がしています。

母自身の自己肯定感はちゃんと引き上げたいなと思います。
そのために私ができることはあります。

そして「自分はだれかの役に立っている」という実感
人の根源的な欲求として、やっぱり大事。
母が今も保育所に行くのはそのためです。

でももしもそれができなくなったとしても
「いてくれるだけでこんなに助かる!」を母に伝わるように、しっかり演出したい。
母の自己肯定感アゲアゲにしておきたいと思うのでした。