お手入れ済みリカちゃん。初代リカちゃんです。
実家の納屋の片付けを済ませたあとで、東京に持ってきた自分の荷物がありました。
リカちゃんファミリーです。
せっかくみんな揃っているし、しかるべきところに売りたいと考えていました。
「大切にしてくれる人に、
できればみんな一緒に渡したいな」、そんな気持ちで。
なかなか着手しなかったのですが、
「次の誕生日がくるまでには手放さなきゃ」と思い
買い取りに出す準備を始めました。
話はそれますが、私の夫はバンドマンで、
音楽を聴くのもめちゃくちゃ好きな超マニアです。
※バンドマンといってもプロではありませんが、バンドが人生の本業。
夫は中古レコード店にしょっちゅう売りに行く&買ってきます。
給料日前には、決まって毎月CD裁判が行われ、
判決のおりたCDたちは、きれいに磨かれてドナドナしていきます。
高値で買い取ってもらうにはきれいにしてから売ること。
これが、マニアの夫から学んだことです。
とはいっても、お人形を売りに行くのは初めてだし
いろんなサイトで見てみたら、“箱に入っていない人形はタダ同然”…と書いてある。
リカちゃんハウスなんて“ほぼ値が付かない”と書いてあるし…
いくら私が頑張って持っていっても、
買い取り額は雀の涙みたいなことになりそうな気がしていました。
しかし、いざ手放すと決めたからには、
リカちゃんたちの最後の晴れ舞台を華々しく飾ってあげようと思い。
というか、やはり好きですから
さわっているともうこまごまやっちゃいます。
最後にリカちゃんの虫干し&手入れしたのは、16歳のときだから
40年の時空を超えてのお手入れです。
お洋服は薄汚れていたので、酸素系漂白剤につけました。
汚れ方に応じて二度、三度。
生地が繊細なので、指先で押し洗いします。
タオルの上に置いて乾かし、ほつれや破れは手縫いで修繕。
乾かしています。ピンクドレスと白のパンタロンスーツは、母のお手製。
ほつれをチクチク。ボタンをツケツケ…
くつはセスキ水溶液をつけた綿棒でキュッキュッと磨き上げ。
お人形本体はセスキ水溶液+水拭きを基本に、
頑固な汚れにはエタノールも使いました。
昨日の記事でもあげましたが、救出当初はこんな状態。
お顔にカビが付いたりしちゃっています。ごめんね。
もっとヒドイ子もいたほどです。
ただ、お人形には虫の害はほとんどなく、ホッとしました。
収納箱に防虫剤を入れていたのが幸いしたかな(40年ももつわけありませんが)。
リカちゃんデパートと呼ばれるお店も2つありました。
こちらは箱外側が汚れていました。落書きもあるし…(泣。
セスキとエタノールで必死に落としました(油性マジック書きの名前はそのまま)。
汚れた箱を捨てようかとも思ったものの、前述のとおり、
サイトでは“箱があること”に意味がありそうだったので、捨てずに掃除しました。
当時からセロファンを破ってしまっていましたが…そのままに。
おそらくデパートは初代のデパートと思います。
ディスプレイ用商品、お金、全て揃っていました。
1週間くらいかけて、全てきれいにととのえてから
仕上げに、密林で購入しておいた
薄葉紙にひとりずつ丁寧に包みました。
朝一で中野ブロードウェイのまんだらけにGO。
売り場にはリカちゃん担当さんがいらっしゃいました。
リカちゃんのプロ!!
査定はこんな状態で受けます。
査定に2時間以上かかるというので
喫茶店でお茶を飲んで待っていました。
「できました」と連絡がきて、売り場に戻ると
リカちゃんのプロがニコニコして査定の状況を教えてくれました。
そのとき、カゴに入った人形たちを、
まるで出席をとるみたいに、
ひとりひとり正しい名前で呼んでくれて
価格を伝えてくださるのです。
私のお友達の名前をきちんとご存じ!
初めての体験でとてもうれしかったです。
リカちゃんのプロに
「長くやってきましたが、こんなに嬉しい日はありません。
よくこんなによい状態で大切にお持ちでしたね」
と褒めていただき、天にも昇る心地でした。
リカちゃんハウスのインテリアが壊れていないことにも感心されました。
いやぁ、うれしいなぁ。
査定額は20万円を超えました。
合わせて23万円超え。マジで!?
※下の2000円がリカちゃんハウスです。別に持ってった…。
すべて終わってから、感極まって、
ブロードウェイの階段で泣きながら、配偶者に電話しました。
あの子たちから思いがけないプレゼントをもらったようで
うれしくてたまりませんでした。
電話の向こうの配偶者も、高額な買い取り価格に
しばらくは二の句が継げぬようでした。
「ひとつ言えることは、
これからフクのリカちゃんたちは、
さらにちゃんとした値が付いて、
必ず大切にしてくれる人の手に渡り、そこで大切にしてもらえるよ」
と言ってもらったのがまたうれしくて。
彼はマニア中のマニアなので、発言に信用がおけるのです。
なんだか、自分の務めをちゃんと果たせた気がしました。
【リカちゃんコレクション よかったら見てあげてください】
初代リカちゃん、かわいいなぁ。
リカちゃんとお友達のイズミちゃん。
リカちゃんのボーイフレンド、ワタルくん。
ワタル君の弟、ゴロウくん。バックは、リカちゃんセットのアイテムのひとつ
学習机です。
下は「くろんぼリカちゃん」。今では絶対NGなネーミングです。
この子がレアで8万円くらいついていました。サンダルもヘアピンもひとつもなくさず持っていました。サロペットは母のお手製。
レアつながりで、変身パットちゃんの通称でおなじみのパトリシアちゃん。
左はナースで、お面を被ってスカートをとると、スチュワーデス(当時)に早変わり。この子も買い取り価格が結構よかった。
そしてレディリカちゃん(中央)、アヤちゃん(左)、ジュンちゃん(右)。このシリーズは、タカラさん、バービー意識していたんじゃないでしょうか。
リカちゃんシリーズではなく、一回り大きな「虹のナナちゃん」。
上のカビカビの箱に入っている子です。めっちゃ別嬪さん!
緑のロングヘアウイッグ付きで変身します。首の関節の表現が繊細。
最後に、リカちゃんハウスです。ボロボロですが、調度品の保存状況を評価していただき、
2000円の値をつけていただきました。インテリアが壊れておらず、揃っているのは珍しいそうです。
カーテンの向こうの壁紙が3枚から選べます。その裏面が下右写真。
リカちゃんハウスのレースのカーテンの洗濯がたいへんでした(汗
ハウスは初代ではありません。
最初で最後のとっておきの経験をさせていただきました。
実家に眠っていたお宝です。
子どもの頃、私は人形好きな子どもでした。
普通の人形も可愛がっていたし、リカちゃんも大好きで。
とても大切にしていました。
同年代の子どもがリカちゃんで遊ぶのを見て
扱いがザツでリカちゃんが気の毒…と思うことがよくあって
どちらかというと、お人形で遊ぶならひとりで遊んでいたかったのです。
そしてお人形が好きなことを、人にはあまり話せませんでした。
私はどのお人形とふつうに話をする子どもで
それを人に知られるのはあまりよくないことのように感じていたのです。
お人形は誕生日やクリスマスに少しずつ、
親に買ってもらうことがほとんどでした。
本当はね。
母がリカちゃんを大好きだったんだと、手入れをしながら思いました。
初めて気がつきました。
だって母のお手製の衣装の数々…。
リカちゃんを可愛がる時間は
母娘のかけがえのない時間だったのかもしれません。
リカちゃんハウスにインスパイアを受けて
母の作ったドールハウス(絨毯を描いて台無しにしているのは私です)。
プライスレス。