三挺の糸切りばさみ。右は糸が切れてしまっていますが、母が作っためんこい貝人形。中はきっと貞山堀(ていざんぼり/仙台市)で採ったしじみだよなぁ…。
自分の裁縫箱を開けると古い糸切りばさみが三挺(さんちょう)入っています。
赤いひょうたんの根付けがついた糸切りばさみは
高校時代に、よく行った公園で出会ったおばあさんからいただいたものです。
私が引っ越すときのお別れにいただいたのかな(いただいたシチュエーションはうろ覚えです)。
おばあさんは、だいたい70代とお見受けします。
当時高校生だった私は、この公園がお気に入りの場所で
ここで過ごす時間が結構長かったのですが
おばあさんも負けず劣らず長かった。
気候のいい日は、朝から夕暮れまでいらっしゃることもありました。
おばあさんはとてもお元気に見えますが、物忘れはそこそこ進んでいるようで、
いつお目にかかっても「こんにちは、はじめまして」とおっしゃいます。
それで私も「はじめまして」と挨拶します。
ふたりともとくに予定もなく、ただぼーっとしているだけ。
行き交う人や、遊ぶ子どもたちをぼんやり眺めています。
ときどき私たちに混ざってくる子どももいます。
なんとなくおばあさんの身の上話を聞いたりして。
息子さん夫婦と暮らしていること。
お嫁さんの話。ちょっぴり愚痴も。
フレンドリーにお話ししますが、翌日にはやっぱり「はじめまして」に戻ります。
お名前は、互いに聞かなかったな。もしかすると伺って忘れたのかもしれません。
そのおばあさんにいただいたのが、この糸切りばさみです。
ボタンをつけたり、つくろいものをしたり、
今でもことあるごとにお裁縫箱を開けるたび、
はさみを見て、認知症のおばあさんのことを思います。
ずっと大切に使わせていただいて、もう40年近く経ちます。
根付けは「のぞきひょうたん」。
中をのぞくと、的を射る絵と
「ナスノヨイチ 即成院」と文字があります。
たぶんこちらの寺院かな。「そくじょういん」と読むそうです。
ひょうたんのお守り、今も売っているようです。
…と、しみじみしていたのは、先週の日曜日に、ほどいた丹前(うちでは「たんぜん」と言います。はんてんとか綿入れとも言うアレです)の古い綿で、丸椅子用の最後のおざぶを作ったからです。手縫いでちくちく…。「ミシン欲しい」と思いつつ、願い叶わず。結局手縫いでざくざくやっています。丹前をほどいたのは去年の8月。ようやく最後のを仕上げました。ほどいてから半年経ってる(大汗)めっちゃ手が遅い&ザツ、でもきっちり再利用できて大満足です。
10年ほど使い倒した夫の丹前。アップリケつけて継ぎ接ぎで使っていましたが、この冬は新調することにして、中綿を取り出しました(結構黒いな)。
右の長めのものはハギレで。ほかの2枚は使い倒した手ぬぐい再利用で製作。はさみを入れなかったので、ほどくと手ぬぐいに戻ります。三次利用もできるかもw。