認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

高齢母 現実と夢とよくわからないらしい

介護帰省の最終日の朝のこと。
母が「あのね、リカちゃん人形が20万円で売れたというのは夢の話なのかな」
と聞くので、
「いいえ、それは現実の話ですよ。大丈夫。
昨日私がお母さんにお話ししたら母さんがすごく驚いていたの。
納屋から救出したリカちゃんたちを、きれいにピカピカにして売りに行ったら
全部で20万円になったって」
「ああそうか。よかった。そうよね。現実。
最近、現実か夢なのかよくわからないことがあるのよね」


意外なところで本音が出てきました。
なんとラッキーなんだ、わたし。


「大丈夫よ。夢なのか現実なのか、わからなくなったら
私が教えてあげるから、安心して「わからない」と言ってちょうだい。
ついでに、銀行の機械でお金を引き出すときに「わからない」ときも
私に言ってちょうだい。大丈夫、あんなに難しいの、できないのが普通です」
と、母に伝えました。
「うんわかった。フクはお母さんよりも先に死なないで」
そりゃそうだ。家政婦いないと困るものね。


実は前日に実家の片付けをしていたら、母が兄の幼い頃に大切にしていた飛行機模型を見つけて
わしづかみにして玄関に飾ろうとしたので、私が発狂したのです。

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模型のことはわかりませんが
壊れてなければわりと高値がつくかもと思ったのです…。
そんなこともあって、母に
「実は納屋から救出したリカちゃんが20万円で売れましてね」
打ち明けたしだい。

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リカちゃんたちの写真を見て、
「懐かしいなぁ、お母さんはお店で、『家族全員ください』と言ったら
店員さん驚いていたのよね」としみじみする母。
それを聞いてはじめは、写真を見て、母がまた物語を紡いだのだろうと思いました。
人形たちの購入年代はおよそ10年の差がありバラバラだからです。
全員がひとつの“家族”だなんてあり得ない。


しかしふと、「いや、これ本当かも!」と気がつきました。
言われてみれば確かに、リカちゃんが最初にうちに来た日、
ひとりぼっちじゃなかったのです。
リカちゃんのママ、いづみちゃん、くるみちゃん、わたるくん、ごろうくん、みんな一緒でした。

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母の言った“家族全員”はきっとこのことなんだな。
気がくと胸熱でした。

やはり、お人形は、もともと母が好きだったんだな。
母の家族へのこだわりを見た気がしました。

「20万円で買取してもらった」話がよほどのインパクトだったのか
母が手持ちの人形を次々と取り出し
「これはおいくら?」と聞くのに少々閉口しましたw

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それにしても。「夢か現実かわからない」って
そういう感じなのかぁ。母の表現に、こちらが感無量だったのです。

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