朝9時頃、
母の所属する学習会のメンバーのBさん(高齢女性、母よりは年下)から、
私の携帯に着信がありました。
【過去記事です】以前母が入院したときにご挨拶をさせていただき、以降、互いに電話番号などを登録していました。母の人間関係を把握しておくことも大事だと感じます。わたしがうまくできたのは、偶然です(汗。運が良かったです。
「コロナで5月の学習会を休会にするので、お母さんにお伝えしたいんだけど
電話がまったくつながらないんです。
お母様は大丈夫かしらと思ってお電話しました」とBさん。
なんでもいちばん家が近くのCさん(Bさんの友達)は
しょっちゅう母宅に足を運んでくださるのだけど、
母が出てこないらしい。
3日ほど前には、書類を入れた茶封筒とちょっとしたお菓子を、
郵便受けに入れたけれど、音沙汰なしだとか。
心配してBさんにご相談されたようです。
「いつもはお隣の方にご様子を伺って確認していたんだけど、
お嬢さんに伺うのがいいかと思って。お母さんは大丈夫かしら」
ありがたいというか、申し訳ないというか。
母が難聴で電話の音が聞こえないこと、
2階にいるとインターホンの音も聞こえないことを、
お伝えして、お詫びしました。
※2階につけたインターホンも電話も、母によってはずされましたし。母、イヤなんですって。
「母とは毎日のビデオ通話で、元気なことは確認しています。
ご心配をおかけして申し訳ございませんでした」
「お元気ならいいのよ! 年を取るとみんな聞こえなくなっていくの。
それはしょうがないの。
いつもはね、肩をぽんぽんと叩いてから話しかけたり、
お顔の正面に回ってからお声をかけるようにしていますから大丈夫なんです。
みんなそうなるの。仕方ないのよ。ご無事さえ確認できればこちらはいいんです。
私も遠距離介護をしていたから、あなたのご苦労がわかるのよ。
でも、待つ身の気持ちもわかっちゃうの。
あなたも遠くから大変だと思うけれど、
お母さん喜んでいらっしゃるから、がんばってね」
私にとっては赤の他人のBさんに寄り添っていただき、鼻の奥がツーンとしました。
そしてこの機会にと思い、気がかりを尋ねてしまいました。
「母はいろんなことができなくなっています。学習会のことで
ご迷惑をおかけするようなことがあれば、どうぞ私におっしゃってください」
「それはありません。お母様はちゃんとご挨拶をなさって
先日も皆さんの前で体操して、とてもしっかりしていらっしゃるの。
私たちはみんな、お母さんのように
ハツラツと元気に年をとりたいと思っているのよ。憧れなのよ。
サポートはみんなで全力でやりますから長として続けてください。
お母さんが辞めたら、もうみんなやめちゃいますから」
あまりにうれしく……泣いていいですか。
「じゃあ、娘さんの電話番号を、Cさんにもお伝えしておくわね。
無理しないで、がんばって」とおっしゃって電話が切れました。
しばらくして、今度はそのCさんから電話がありました。
「お母さんのところに、夜討ち朝駆けで訪ねるんだけどいらっしゃらなくて。
ひとり暮らしだから心配だったのよ。
そう、お元気なの! よかった、それなら安心だわ」
みなさんに支えていただいて素晴らしいな。
母さん、この地にしっかり根を張って、
よい人間関係築いてきたんだなとうれしくなりました。
「私は介護の当たり役で、夫の両親、自分の両親、夫と、5人の介護をしました。
介護のつらさもよくわかるんです。
だからあなた、愚痴があったら、巨大なバキュームカーを用意して聞いてあげるから、
なんでも私におっしゃって。
うちは娘もいるから、夜中の2時3時にお電話いただいても大丈夫。
本当よ!」
信じられない展開で驚きました。
そして幸せを噛みしめています。
その後Cさんに、いただいた書類の内容を確認し、
後に母から電話する旨を、お伝えして電話を切りました。
母にはその後、アレクサで呼びかけて、
底抜けに明るく、「書類を確認してCさんに電話してね」と伝えました。
……母さん、やっぱり電話はとれないか。
そっか、そっか。仕方ないねぇ。
夕方、再び、日課のアレクサ呼びかけ。
「土曜日」を忘れて
「食べるものがないなぁ」と言う母に(そしてたくさん食べるものはあります)
「今日はお弁当が来ていますよ」
「来てないもん」
「もう来ていますよ。表を見に行って取ってきて…」と促しました。
表に置いてあったお弁当を手に、母が戻ってきました。
「ところで、Cさんに電話できましたか?」と言うと、
なんかモニョモニョしています。
たぶん、電話をしたかどうかの記憶が怪しいのでありましょう。
こうして歩いて行く。
うんと遠くまで、この調子で歩いて行ければいいねぇ。
母の独居を支えてくださる方々がいて、とても幸せです。
わたしもどなたかに恩返しのバトンを渡したいと思いました。