日課の夕方アレクサ呼びかけ。
もうじき桜が散ってしまいそうなので
今年最後の桜を、スマホのアレクサアプリで実家の母に中継しました。
それにしても、母がなんだかモワンとしているような…?
尋ねると、今日見知らぬ男性(推定60代)がピンポーンとやってきて
「この辺で、Mさんという人のお宅がわからなくて困っている」
とおっしゃったそうです。
母はMさんを存じ上げなかったので、お向かいさんにピンポンして尋ねたら、
インターホン越しにご夫婦で「Mさん? 知らないですねぇ」とのこと。
結局母は、その方と共に10軒くらいの近所のお宅をまわり、
「Mさんという方のお宅を知りませんか」と、
その謎の訪問者と一緒に聞いて歩いたと言います。
結局近所でご存じの方はいなかったそうで、
「今日は公民館が休みだから、
あいてるときに公民館で聞いたらわかるかも」
と言って別れたそうです。
?????
あまりにツッコミどころ満載で
私が泡を吹いてひっくり返りそうになりました。
都会と実家地方の風潮を同じに捉えてもいけませんが、
都会は、電話番号をはじめ、個人情報は何人にも漏らしてはいけないというのがデフォルト。
「○○さんのお宅はどこですか」の問いかけからして、かなり訝しく感じます。
しかも、見知らぬ人の家に、ピンポン押して尋ねるものなのか?
そして、なぜ、うちを選んだ?
もちろん母はあくまで親切心です。
「逆の立場だったらどんなに心細いか」と思いやりにあふれたことを言いますが
弱者である自分の立場を完全に忘れているので、私の背筋が冷たくなりました。
母は自分の気持ちの中では50代で、気も心もハツラツ…ということが多いです。
自分がもうすぐ90歳になる体力のない高齢者、
しかも独居であることの用心をうっかり忘れます。
「用心、用心、用心、用心…」と気にかけていますが、
話しかけられた瞬間に忘れてしまう感じ。
普段はそれでいいのですが、心ない人に悪用されたらたいへんです。
「母さん、そんな時はお向かいさんのように対応するのが正しいです。
知らない人が来ているときに出て行ってはダメです。危ないから。
母さんは【2人組男性には怪しいから出たらダメ】って自分で張り紙してたでしょう?
1人でも犯罪をやるときはやりますよ。
母さんと話しながら、母さんの情報を上手に抜いていくんですよ」
と、お小言しました。
「私だって今になって反省しているんだから」
と母は殊勝なことを言いますが、
母がどれだけ理解できるのか。
たとえ今、ことの次第を理解できても、覚えていられるのか。
あかんや~ん!!!
こうして書いていても気がかりが募るばかりなので、
民生委員さんに電話をかけて、かくかくしかじか相談しました。
すると民生委員さんも驚いて、
「やっぱり、念のため警察にも一報入れておこう」
ということになり、そのまま私が実家市の警察に電話し、
「急ぎではありませんが、心配事を相談させてください」。
いえ、ただ、私がビビリなだけですけど。
ビビってるだけっていうのもナンですので…。
実家市の警察は、非常に親切に対応してくれました。
現時点ではそのスタイルの不審者の報告はない
と伺って、ひとまず胸をなで下ろしました。
加えて警察の方から、
「そういうときは、『じゃあ警察に聞いてみましょう』と言って、
警察に電話してください」というアドバイスをいただきました。
なるほど、プロのアドバイスはひと味違います。
警察への相談が終わった後で、民生委員さんにその報告を行い、
あらためてまた母にアレクサ呼びかけました。
急いでいるときに限って「リモートビデオオフ」表示って、なんなの、アレクサ!?
母の顔が見えません。まあ、向こうからは私の顔が見えているのでこのまま続けます。
「母さん、念のために警察に相談しましたよ」
たぶん、母の中にしっかり落ちそうなインパクとをそなえた言葉です。
その上でさきほどの警察からのアドバイスを伝えると
「なるほどねぇ。いいこと聞いた。今度同じように来られたらそうします。
私は親切心からだったけど、やっぱりやりすぎたなぁと気になってたのよ」
と母(再び殊勝な態度…)。
「警察に電話するって言ったらいいのね。
それか、お隣さんの職業を言ってビビらせるのもいいね」と言うので、慌てて
「母さん、それはいけません。
人のお宅の職業を多言するのはこのご時世はダメなんです。
個人情報を多言するのはNGですよ」と釘を刺しました。
「そっか! そうだね」と笑っていましたが
…理解できているのか!? …まあいい。
さらに1時間後、民生委員さんが私に電話をくださいました。
気を利かせて、母の様子をのぞきに行って下さったそうです
母は、「あなた、いいところに来てくれたわ」と喜んで民生委員さんを迎え入れ、
「こんなことがあって今娘に叱られたのよ」と、しょんぼりしていたそう。
「『そんな時は絶対ついてまわったらダメです。
誘拐されなくてよかったですねえ』と言ったら、お母さん笑っていらっしゃいましたよ」
と民生委員さんが教えてくださいました。
救いの手をのべてくださるのが
とてもとてもありがたかったです。
もう、温かいなぁ。
落ち着いて考えて、母が一連のことを覚えていてくれて、ちゃんと私に話してくれたのもよかったなと思いました。離れて暮らす娘にはヒヤリハットでしたが、もしかして取り越し苦労ならば笑い話です。ごめんなさい。守っていただいていることに感謝です。