認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

高齢母、認知症のカモフラージュがすごい

帰省初日、母にとってうれしいことがありました。
30年前に、母たちが立ち上げて次代に引き継いだ、
地域のボランティアの歴史をまとめた冊子を、
現職の会長さんが届けてくださいました。
何度も何度も読み返し、ニコニコしています。
地域ボランティア団体の、創立30周年記念だそうです。


その冊子、私も何度も見せられました。
1年ごとに会長や役職の氏名が明記されており、
行ってきた内容も細やかに記されています。
母は初代から20年以上にわたり、会長職を務めてきました。
母にとっての輝かしい功績が残されているのですから、
気分があがるのもわかります。
母、鼻高々。


ところが。
翌火曜日の朝一番、「もらった冊子がない」と大騒ぎしながら
起きてきました。
もちろん昨夜は自分の部屋に持って上がって就寝したのですが。
朝ご飯そっちのけの一大事になりました。


テーブルに冊子が置いてあるので
「え、母さん、ここにあるじゃないですか」と言うと
「ちがう! もう一冊ある!!」と言い張ります。
どう見ても、いただいたものが両方あるのに??

 

話を聞くと
「私の仕事だけをまとめたものが1冊別にあるッ」
と言うので
「母さんそれは勘違いです。
このページが母さんが昨日ずっと見ていたページですよ」
と、昨日お気に入りページを開いて見せると
「ちがーう!!! もう一冊あるって言ってるでしょうがッ!」と、
叫ぶは、テーブル叩くは、
しまいに子どものように泣き出してしまいました。

…既視感。(・ω・)
ボカスカ、私が叩かれなくてよかった…。


幸いにも昨日母がウキウキして読んでいる写真を撮影していたので
「母さんが昨日喜んで読んでいたのは、
今目の前にあるこの冊子です。
写真あるから見てください。タイトルだって同じでしょう?
しかもほかには1冊しかありません。写真に写っているでしょう?」

役だった証拠写真がこちらです。

…とは言いつつも、私はハタから眺めているだけで
本当にそんなものがあったのならどうしうようとちょっと思いました。
でも、普通に考えたらあるわけがないし。

社協に電話で聞いてみるッ!」
「いやそれは管轄が違うでしょうよ」など、すったもんだの果て、
結局母はどこぞに電話をかけました。
社協かもしれません(大汗


その電話が凄まじかったのです。
 ・挨拶
 ・いただいた冊子のお礼
 ・先方の仕事の素晴らしさを讃える
これらを一通り述べてから
「ところで昨日いただいたのは2種類でいいのかしら?
3種類じゃないわよね」

「え、2種類ですか!? そうですよね。きちんとございます。
おほほほほほ」


どの口が言うてんの!?

さすがです。取り繕いが半端ない。
周囲の方が母の認知障害に気がつきにくいわけです。
鮮やかすぎる対応に舌を巻きました。
まるで別人。


一瞬にして、作話はなかったことに。
その後、母は全然ふつうです。
悪びれることなく、詫びの言葉も当然なし。


たとえイヤなことがあっても、
受け取ったら、流して、流して…。
そんな訓練をしている気持ちになる介護帰省2日目の朝。
衝撃的な現場も目撃したことだし、まあいい。

母は、もともと承認欲求が強い人です。
母の作話から、
「もっともっともっともっと褒められたい。評価されたい。世界に!」

その気持ちが今も全く衰えることがないことを知りました。
渇望、すごいな(大汗
作話の世界、深いぜ!