認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

害虫サバイバー

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私が高校時代にお世話になった下宿には、夏、
おびただしい数の「G」がいました。
下宿は、当時70歳のおじいさんと、73歳のおばあさんの、
高齢者二人暮らしのお宅でした。
認知症もなく、極めて健やかな老夫婦です。
おばあさんのきっちりした性格が表れて
各部屋は掃除が行き届き、清潔な印象でした。
台所も、冷蔵庫の中も、スッキリ片付いていました。
無駄なモノがあまりない感じです。


ところが、初夏の夜のこと。
「フクちゃん、電話やでー」と、階下からのおじいさんの呼び声に
「はーい、ありがとございます」と、
2階の自室から、電話のある1階の居間へと降りていきました。

電話を借りようと消灯していた居間の電気のスイッチを入れると
明るくなった拍子に、天井に波が引いていくような動きがあります。
なんだろう、あの影? と目をこらすと「G」でした。
それも大量に…30匹はいたんじゃないでしょうか。
人の気配で天井の片隅にまとまって「G」が逃げる
…なかなかシュールな光景でした。
ヤツら、夜になるといつも自由に這い回っていたのかもしれません。


ご飯はその居間でいただきます。あの光景を見た後では緊張しました。
なにせあれだけの数が潜んでいる空間ですから。
食べているときも、出てきたりして!


それが……出てくるんです。
夕食は、下宿のおじいさんとおばあさんと一緒にいただきます。
その場に何匹か猛者が現れます。
食べている人間に、正確にはおそらく料理に、カサコソ近寄ってくる。
するとおじいさんも、おばあさんも、自分に寄ってきた「G」を
素手でサッと払って、何事もなかったかのように食事を続けます。
払うだけ。退治なし。一切騒ぎはありませんでした。
夏の、ふつうの食事風景です。


当時私が16歳、下宿のおじいさん70歳、おばあさんが73歳。
お二方とも明治時代の方で、カクシャクとしておられました。


あんなにきれいなお宅でも、一切駆除しなければ
「G」だったり、コバエが涌いたりするんですね。
なかなか勉強になった上に、修練にもなったなぁ、あの下宿時代。
ちなみに、おじいさん、おばあさんには、とても可愛がっていただきました。
「フクちゃん、おじいさんには内緒やで」と、
おばあさんがおやつをくださるんです…。懐かしい。

 

コバエのことは先日の記事で、こちらの下宿のことも書いています。
エグい画像つきですが、
赤の警告文(ムシが苦手な方はここから下は決して見ないでください)までは画像なしにご覧になれます。
仁義なきコバエとの戦い 介護帰省編 ※コバエ画像閲覧注意


あの頃から害虫サバイバーだったわたくし。負けません。