害虫退治をしているとき
とにかく黙々と作業をしていました。
母に「こんなになっている」とは伝えませんし
「ムシー! ぎゃーっ!!」みたいなことは決して言わないようにしています。
あくまで黙々と任務を果たすのみ。
気持ち悪い以上に、忘れ去られて朽ち果てた食材と、
母自身のことが不憫で
涙が止まりませんでした。
ムシのことでいえば、私は母に借りがありました。
あれはかれこれ35年前のこと。
学生時代に一度だけ母が、大阪の私の下宿を訪ねてきたことがあり
そのときに台所のぬか床にコバエがわいていたのを
母がきれいに処分してくれたのです。
ぬか床はコバエの子どもたち(つまりウジ)の温床と化していたようで…。
くわばらくわばら…。
文句も言わず黙々と処分してくれたことを今も思い出すのです。
台所にコバエが多いとは思っていましたが、ぬか床が温床になるなんざ
思ってもみなかったのです。
実家を片付けながら
「あのときありがとね」と、時々思い出します。
そんな失敗あっての、今のおいしいぬか漬けです。