先週の土曜日の午前中、母が友達Aさんのお宅に、
私の持ってきた東京土産を届けに行きました。
Aさんは実家の近所に、ひとりでお住まいのアクティブ高齢女性です。
帰ってきた母が
「Aさんが、風邪で熱を出して寝込んでいた」と言います。
母にはうがい、手洗いをしてもらいつつ、
これは、私が発熱外来にお連れすべきかしらと思いました。
時節柄どうしても、はやり病の罹患が頭をよぎります。
私はなにができるかしら。Aさんは何をして欲しいかしら。
ほどなくAさんから、お土産のお礼の電話がありました。
「お加減はいかがですか。お熱はどのくらいですか?」と伺うと
「いいえ、熱はまったくないの。ちょっと疲れが溜まっていたのか、
少し風邪気味なだけよ」
「発熱外来など、ご一緒しなくても大丈夫ですか?」と伺うと
「ゆっくり休めば大丈夫。ご親切にありがとう」とAさん。
発熱していないならひとまず大丈夫かなと思い、
「お困りのことがあれば、すぐご連絡ください」とだけお伝えしました。
※「発熱」は、どうやら母の頭の中の変換ミスのようでした。
その足でコンビニに行き、
お病気のAさんが食べられそうなもの…レトルトおかゆとか、
パウチのお惣菜、ヨーグルト、100%ジュースなどを買い込んで、
Aさん宅の玄関に置きました。
かさ地蔵作戦です。
帰宅してからAさんにお電話差し上げ、
差し出がましいとは思いましたが、こういうときなので
玄関先に簡単な食料品を置いている旨、お伝えしました。
「幸い食欲はありますから、これからいただきますね、どうもありがとう」とAさん。
シビれるほど気品がある方です。
…でもね、実はAさんは配食を利用されていて、
食には全くお困りでないことがそのとき判明しました。
反省、反省。想像が及びませんでした。
その日の夕方、母が電話で、Aさんへご様子伺いしていました。
…短期記憶はだめなのに、よく覚えていられるな、母。
月曜の朝、東京で、私はその後のAさんの容態が気がかりでした。
別件で母に電話すると、
「朝からAさんに電話したらお元気だった!」と、母から話してくれました。
「昼はサンドイッチでも買って持って行ってあげよう」と言うので
「Aさんは毎日配食があって、食べるものは不足がないから大丈夫です」と伝えたら
「ああ、そうだったわね。いらないわね」。
「それから、お風邪がうつるといけないから、母さんは行っちゃダメ」と言うと
「そうね。そうよね」と納得していました。
いや、無理そうです…たぶん、行くね、あれは。
まちがいない。
それにしても、短期記憶がほぼ崩壊しつつある母が、
Aさんの不調を覚えていられるのが不思議でなりません。
なぜでしょう。
もうひとつの不思議。Aさん宅から帰ってきた母は、
私が言うまでもなく、鼻うがいまでしっかりしていました。
いつもは結構テキトウで、私が「手を洗って」「うがいして」に
「もううるさい!」と応える母。
やらなきゃいけないときはちゃんとできるんじゃん!
実家地方も梅雨に突入。電線に、若いヤマバトと子カラスがとまっていました。
【本日のオチ】
日課の夕方・アレクサ呼びかけで、母が「もう帰省のたびに毎回Aさんにものを持っていかなくてもいい」と言います。なんだなんだ、なにがあった!? 「今日、Aさんにちょっとしたものを持っていったら『いらない』と言われた」と怒っていました。行ったんかーい!!
「Aさんに限らず、あまり人にものを差し上げるのは控えたほうがいいわよ」と言うと、「そうよね。相手の好みもあるしね」と母。その場では、取り繕うような高度な会話ができます。その場では。