母に出す日本茶は、普通よりもずいぶんぬるめに淹れたものを。
ヘタすると50℃くらいでも通ります。
湯冷ましして、たとえ茶葉の適温で淹れたとしも、
煎茶70℃だと「あっつ!」と、ギロリ睨まれます。
言外に「われ、気ぃきかんやつやのう」。
それがぬる燗より少し熱いくらいになると
「『こりゃあ、どくどく加減やな』ってばあちゃんが言うわ」と喜びます。
ばあちゃん。ごく自然に、今も毎日のように話の中に登場する、母の育ての母。
もう56年前に亡くなった母の祖母(私の曽祖母)が、
まるで昨日もここにいたように話に登場します。
「どくどく加減」は、グビグビ飲めるちょうどいい温度のことを指す熊本弁らしいです。
キングオブ熊本弁、いやもしかしてK村の言葉なのかもしれません。
「こりゃあ、お茶はどくどく加減でちょうどよかばいね」
「どくどく加減でうまかね」
と活用するようです。
そして、母に大事なのは、このどくどく加減のようです。
最近私も影響を受けて
どくどく加減がおいしいなあと感じるようになってしまいました。
毎朝の煎茶は、90℃くらいのお湯を、
15分~20分冷ましてから急須に入れています。
おそらく50℃程度のお湯で、3分ほどじっくり出した嬉野茶。
甘みが強くなりおいしいです。
茶葉は嬉野のぐり茶が好きなのです。自分で求めるのはこればかり。
世知原茶も好きですが市場にあまり出回らないので…。
どくどく加減でうまかよ。
急須の口が短いのは、落として口を割ってしまったので(欠けたというよりガッツリ逝きました)、ヤスリで地道に磨いて短い口に仕立てて、再び利用したからです。生まれ変わってもう10年。