認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

高齢母の時間旅行、マイナーチェンジ

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金曜日の夕方、日課のアレクサ呼びかけで
「今日は6時くらいから花火があるのよね?
隅田川の花火かな?」と母。
当たらずとも遠からず。
「母さん、今日は東京2020大会の開会式です」
無観客で行われる開会式を、テレビやネットで視聴する。
はからずも、とても平等だと思いました。

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高校時分に親元を離れた頃(1980年代・母50代)から、
母が私を見ているのは、いつも3歳頃の私の姿ばかりのようで
“現在”の私はほぼ見えていないみたいだな、と感じることが増えました。
私自身がHSPなのに加えて多感な時期なので、
その判断が正しかったかどうかはわかりません。


80代の母がすっぽりはまり込むのは、母自身の10歳手前の少女時代です。
当時母は、育ての親である祖母(私の曽祖母)と熊本のK村で過ごしていました。
2018年に緊急入院したときはせん妄の影響もあり、
「自分が帰るうちがわからない。K村じゃないのかなぁ」とよく言って、ヒヤヒヤさせられました。
もっとも入院前から少女時代に籠もることは多く、自然な流れだったのですが。


退院後はせん妄はすっかり治りました。
しかし母は今でも、過去にすっぽり籠もることがよくあります。
頭の中で時間旅行をしていて、
育ててくれた祖母(私の曽祖母)のことをとつとつと語り始めるので
「そうね、そうね」と相づちを打ちながら、
しれっと「ねえ、このパンおいしいでしょう!?」などと話題を変えて、
強引に現在に戻すということが多かったです。


この7月に帰省した時は、母の過去への戻り方が少し変わりました。
現在と過去がミックスするというか、
現在の出来事に対して、当時の曽祖母がピシッとコメントするというスタイルなのです。
母が過去に籠もる感じではありません。
こうしたリアクションは初めてで、興味深かったです。

たとえば、母が食事中に食べているものをこぼし、
膝のあたりを汚してしまいます。そうしたときに
「そういえば、ばあちゃんに、『体をお膳につけて姿勢良く食べろ』とよく言われた」と言います。
また、多動の母は、食事時にすぐ集中が途切れてしまいますが
「そういえば、ばあちゃんに、『食べるのに集中しろ』ってよく言われた」

…言われとったんかい!!!

まあいい。

いつも私が言うことばかりなので小さく驚きました。
母の言葉から推察すると、曽祖母はとにかくピシッと厳しく、働き者な女性だったようです。
私が以前母に伝えたことが、曽祖母の言葉となって出てきているのかと、訝しくも思いましたが、
曽祖母の台詞は生粋の熊本弁でまくしたてるので(私は再現できません)、
たぶんリアルな記憶だと思うんですが、どうでしょう。
それにしても私の言動と被るんですけど。
…まあいい。

 

少し位相が変わった気がしたんですよね。