認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

「釣り後家さん」の高齢母が覚えている父のこと

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父の命日でした。29回忌。

前日に母に「明日は父さんの命日ですよ」と伝えると
「そう! お父さんはなにが好きなんだっけ?」
「ビールをお供えしたら喜ぶんじゃないかな。冷蔵庫の野菜室に1本入っていますよ」
「わかった。それをお供えしたらいいね」と母。
ずいぶん前に、母は父の命日なんて忘れてしまったし
父の好物もすっかり忘却の彼方です。

 

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「鮎が恋人」と言って憚らなかった父。

でも、太公望なことだけは決して忘れないよう。
母いわく、父はあの世でも、今も毎日釣りに出かけているそうです。
よく仏壇で「今日はどこに行ったの?」「釣れた?」と尋ねるそうな。
亡くなって30年近いというのに、いまだに
「お父さんはどうしてあんなに釣りが好きだったんだろう」と不思議がります。

まあ、私も幼いときから、日曜日に父が家にいるのを見たことがなく、
休みの日にはまだ暗いうちから釣りに出かけていた釣りキチな父。
雨が降っても、暑くても、寒くても、ひとりぼっちで毎週お出かけ。
社宅に住んでいた頃は、近所の奥さん連中からうちの母、
「釣り後家さん」と呼ばれていました。


父の命日当日、夕方の日課アレクサで
「コンビニ行ってビール2本買ってきて、お父さんにお供えしてるのよ」
とニコニコの母。
ちゃんと新しいビール買えたんだ。ヨカッタ。
命日に思いを寄せることができるのは、やはり嬉しいのでしょう。

私は母がちゃんと覚えていてくれたことがとてもうれしかったです。
お父さん、よかったねー。

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