認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

息子の不治の病を嘆く高齢母。いやそんなことは…

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日課の、夕方アレクサ呼びかけ。
不穏な気配をまとった母が現れて「今日はよくない知らせがある」。

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「お兄ちゃんから電話があって、お父さんと同じ病気なんだって」
「いつ電話があったんですか?」
「今日か、昨日か、一昨日か、…よくわからない」
「そうですか」

「ああた、お父さんが亡くなった病気、何か知ってるでしょ?」
「ん??? 忘れました(・∀・)」

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ドッカーンと笑い出した母。神妙な顔してるのにも疲れたのか!?

「肺がんよぉ、肺がん! お兄ちゃんも同じなんだって!」
「そうですか。
もしそうだとしても今は医療も進化しているから大丈夫です。
何かの勘違いで、私は肺がんじゃないと思いますよ。

それから母さん。これは大事なことです。
もしも兄さんががんで死んだら、それは悲しいことですが、
母さんが不幸になるのとはまったく違います。
兄さんが先に死んでも、母さんは不幸にはなりません。
どんなことがあっても、母さんは不幸にならない。
だから安心してください」

「…そうね。不幸にはならないわね。
でもお腹を痛めて産んだ子だもの。つらいわ」

「そうですね。でも、2人産んで、そのうち1人が先に死んじゃうなら
それはそれ。しょうがないじゃないですか。そういうこともありますよ。
悲しいけど、だからといって母さんは不幸にはなりません。
だから、ちゃんと幸せを噛みしめて生きましょう」

「そうねぇ。そうよね!」
と、だんだん明るくなってきた母。
切る時にはたいへんゴキゲンなところまで持ち直しました。
よかった、よかった。
まるめこめたどー!

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基本お調子者なんで。

あらためて兄にMessengerしてみました。
現れた兄は5日前より、また元気になったように見えます。
上記は兄には話さず、様子を伺うに
 ・今日母に電話した
 ・がん関連の精密検査はこれからだ
 ・がんが発覚した父と同様、がん保険が切れて更新していない。とほほ 
と話していたので、おそらく保険の話を母にしたのでしょう。
母が理解できるわけがなく、
「お兄ちゃんはお父さんと同じ肺がんになった」と解釈したと思われます。
兄ちゃん、あんまり難しいことを母さんに言わんといて(とは妹からは言えません)。

 

間質性肺炎は予後が微妙なので
「今後は兄さんは一切、全く、介護帰省は気にしないでいいから。
私がやるから大丈夫」
を伝えました。
「ありがとう。悪いね。
でもこの先長くないと思うと、最後に母さんに会っておきたいかも」
と言うので、
「里心がついて会いたいならどんどん会いに行けばいいですよ。
誰に遠慮することもありません。
とにかく介護は気にしなくていいから」と伝えると喜んでいました。

 

さらに伝書鳩となって、再び母にAlexa呼びかけ。
「母さん、兄さんは肺がんじゃありませんでしたよ。
聞き間違いでよかったですね」
と伝えると、母も喜んでいました。
いろいろ心配しちゃいましたね。お疲れ様でした。

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さっきの呼びかけから30分後の2回目呼びかけ。髪にカーラーがついてました。私が持ってったヤツ、活躍中です。ヤホー。

母に、口からデマカセを言っているわけでもなく、実は本当にそう思っています。
死別は悲しいし、寂しいし、それにも増して私の場合は「悔しい」と感じることが少なくありませんが、死そのものは悪いわけではないと感じています。だって遅かれ早かれなんですもの。死は状況であり、現象であり、死ぬ人も残される人も不幸せではない。つなげるべきではない。少なくとも、それとこれとは別で考えたいと思っています。

同様に、死にそうに痛いのと、幸せ・不幸せの軸とはまったく別物。痛くても病気でもしんどくてつらくても、年を重ねて体が思うようにならなくても、頭が思うようにならなくても、人は幸せでいる権利があるし、自分や、できれば周りの人には、そうありたってほしいと思っています。
だって人として生きるってそういうことだもの。全部を含んだことが「生きる」というかけがえのない体験なのだと感じています。いのちはでかいのよ。小さいけど。

今世アガって、向こうの世界に行ったときに、「うわー、めっちゃたのしかったわー!!」とかって、向こうで待ってる人たちとハイタッチしながら喜びを分かち合うのかもしれません。