認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

舌痛症で歯科ペインクリニックへ

虫歯はすべて治療済みにもかかわらず
お口の中はあちこち痛みます。
以前、奇妙な歯の痛みがあるとブログでも書いたことがあります。

こんな感じです。
何もしていないときに突然、「ツーーーーン」という痛みが遠くからやってきて、
それから脈を打つような感じでかすかな痛みが続きます。
ちょうど露出した神経の上に薄紙1枚被せて触れられているような痛み。
そこそこ痛いです。正確には、「“痛い”よりも“超、怖い」
しかも不可解なことに、昨日痛んだ歯と、今日痛む歯が違うのです。
なぜか、ものを食べてしみるということはないようです。


突如痛くなる系で、別の強烈な歯の痛みもあります。
先に述べた“薄紙”がなくなって、鋭角で差し込んでくる歯の痛み。
鼻で呼吸したときに喉のほうで揺れる空気が
歯にしみて激痛、身動きとれないといった感じです。
こちらは問答無用の激痛。以前起きたときは
ロキソニンなどの鎮痛薬を飲んで横になって眠ったら
翌朝には治っていました。やっぱり「怖かった」

 

歯以外では四六時中、舌の痛みがあって
自分では「絶対傷があるはず」と思いますが
歯科医に診察していただいても「舌に異状はない」と言われます。
でも立効散(りっこうさん)を口に含んだときにあれだけそこが痛むなら
やはりなにかあるんじゃね!?
と訝しく思います。

 

それまで一般歯科で相談しても、ほぼ相手にされなかったのですが
顎関節症外来の先生に思いきって相談してみたら
初めて【痛覚変調性疼痛】*1という概念を教えていただき、
歯科ペインクリニックを紹介してもらいました。
【その過去記事です】

もしや「歯科心身症外来」に行くことになるのかもと思いましたが、
顎関節症担当医によると、私には
歯科ペインクリニックのほうがよさそうだというご判断です。

先日、その歯科ペインクリニックを初めて受診しました。
WEBで予習して、痛みの神経回路を正常にするために
やっぱり抗うつ剤投与となるのか、致し方ないか…と思っていたのですが
展開が意外すぎて驚きました。

 

まず、舌の痛みはどこから来るか。
はじめに、亜鉛不足ではないか、カンジダ菌が悪さをしていないかを
チェックしました(結果は次回の受診時)。
その上で、「噛みグセのために歯の痛みが起きている可能性が高い」
とおっしゃるのです。


どういうことかというと、
頬のあたりの筋肉の凝り具合を器具で押さえてチェックすると
相当凝っていること、しかも
痛みが出ている人の中でもかなり強く痛みが出ていることがわかりました。
頬のところの強固な筋肉痛が
歯の痛みを演出している可能性があるというのです。
その原因のひとつが、くいしばりかもしれないと。

私は自分で改善して、歯がみすることはほぼないつもりですが、
違う方法で噛みしめをしている可能性は十分あると気づきました。
担当医師いわく、
「咬筋(こうきん)、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)の凝りを
軽減することで、歯や舌の痛みが解消できる可能性は少なくない」。

もともと私は、頬のあたりを、外から触るのも、痛くて怖くてドン引きでした。
恥ずかしながら「なにがこんなに痛くて硬いの!? どこが悪いの? 
あごの骨なの? 歯の根っこなの? 」と実はビクビクしていました。

担当先生はそれを見透かしたように
「フクさんが痛みを感じているところは
骨でも歯でもなく筋肉です。安心してマッサージしていいですよ」

マジで!?

 

というわけで、指導されたとおり、
キッチンや洗面所など、目につくいろんなところに付箋を貼って、
以下の行動を意識して行います。

✔口を開ける ※“口は閉じる”を常に意識していたわたくし。ショックです。
✔歯を合わせない 
✔1時間に1回深呼吸する
 ※大きく吸って~、吐いて~…の、吐いたときの舌の位置が理想なんだそうですよ。「それがリラックスしているときの位置。覚えてください」と指導していただきました。
✔マッサージする
 咬筋(こうきん)を中心に、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)も1日5回、軽くマッサージします。側頭筋も関係するそうですが、私は側頭筋の過緊張はなく、スルーしてOKだそう。
 咬筋は、マスクをしたときに、布面と紐の間にできる頬の部分を母指球(ぼしきゅう)でやさしくクルクルマッサージ。1回30秒。ちなみにこのマスク布面と紐の間の空間について、担当医師は「私、気づいたんです。マスクをしているとわかりやすいんです」とうれしそうでした。
 胸鎖乳突筋は耳の後ろから鎖骨への筋肉。顔を右や左に向けたときに現れるゴツい縦の筋です。骨!?というくらいゴリゴリのゴリでございます(多くの人がそうだと思います)。


今で受診からちょうど2週間。
毎日細々とやっていますが、
歯の奇妙な痛みが現れなくなりました。
なんなの!?

舌の痛みはまだとれません。いつかこれも改善するのかな。


それにしても、痛みに特化した、こうした改善方法を
具体的に教えていただけるとは思ってもみませんでした。
というか、歯科ではまずこんな指導は無理。
今までしていただいたことはありません。

というわけで、餅は餅屋、蛇の道は蛇、ですね。
お口周りの虫歯でない痛みは
顎なら顎関節症の専門医を訪ねるほうがいいし、
舌痛症は歯科専門のペインクリニックを受診するほうが断然いい。
本気で改善したいなら、専門医を訪ねるのが近道だと思いました。
だって歯科医のなかでも、「舌痛症は精神的なもの」「舌痛症は気のせい」というところから、アップデートしていない歯科医のほうが多いんじゃないでしょうか。私を担当してくださっていたのは、そうした先生方でしたもの。

残念なことに、
まだまだまだまだ、歯科ペインクリニックは周知されてはいません。
今回は偶然、知ることができてラッキーでした。
でも、顎関節症は、一般歯科でも取りくんでいらっしゃる先生はおいでです。
あきらめずお調べになるのがいいと思います。
しんどい方がみなさんラクになれますように…。


細分化してその道のプロに診てもらうのがいちばん…と思いつつも
からだは統合医療で診てもらうのが最も安心と思う自分もいます。
きっとどちらも正しいのでしょうね。

 

*1:幻の痛み、気のせいではなく、痛みを誤認してしまう神経の問題