認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

ミクロの視点、マクロの視点、リフレーミング

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昭和ひと桁生まれの方は複雑な生い立ちであることも
少なくないのではないでしょうか。
母も昭和一桁生まれ。5人きょうだいの一番上。
父(私の祖父)を早くに結核で亡くし、母(私の祖母)は再婚。
ほかのきょうだい4人とは父が違います。
再婚相手に遠慮したのか、私の祖母は、前夫の連れ子である母を
自分の母親(私の曽祖母)に預けて、新しい家庭をつくりました。
母は曽祖母に育てられて大きくなりました。
戦時下の疎開の折に、きょうだいや実母、義理父とともに
一つ屋根の下で暮らしたことがあり、
当時の苦労やつらい話を、私は子どもの時からよく聞かされて育ちました。
義理父はもちろん、実母に冷たくされる幼い母が気の毒でたまらず
子どもながらに、今すぐ当時の母と代わってあげたいくらいでした。
母の痛みがあまりにもリアルでつらかったことを思い出します。
  ※HSPのためにこのへんは増幅されます。
うちは転勤族で、母きょうだいとは離れて暮らしていることもあり
親戚づきあいもありませんでした。
いじめられた話をきいていたのでお近づきになるには抵抗がありました。


と思っていたのに。


1992年、私の父が肺がんで、もう長くないというとき
母のきょうだいたちが見舞いに来てくれました。
意外にもみなさん、なんだか親切な人たちで、「あれれれ??」という感じ。
私は母とは離れ、おばたちと歩いていました。
そのときに、温かく気遣ってくれるきょうだいたち(おばたち)から、
思いがけない言葉を聞いてしまったのです。
ねえさんはあのとおり、昔から“姫”だから、今の状況は大変でしょう。大丈夫かな?

雷に打たれたようにハッとしました。
私は今までずっと母の視点で物事を見ていて、聞いたとおりに
「母は、おいたちで義父や実母、きょうだいに、冷たくされて…」と疑いませんでしたが
立場や視点がちがうと、様子は全然異なるのかもしれないのです。
後日、退行催眠などで体験するリフレーミングの原点がそこにありました。

とはいえ、幼い母の感じたこと、寂しさつらさに変わりはありません。
それでも娘の私がたくさんの視点を持てることで
私についた鎖はもちろん、母についた鎖まで、断ち切ることができるように感じています。
つらいことに集中してしまう母に対して
「そうだ、どんな天気だった? その年は暑かった?」と視点をずらしてあげるだけでも
母のつらい気持ちが軽くなることもあるかもしれない。

マクロの視点とミクロの視点、リフレーミング
とらわれをどんどんはずして、
私たちはもっともっとラクになっていい
それは親子関係にも言えるのではないでしょうか。