高齢ADHD母の遠距離介護記録

89歳独居の母は要介護1。高齢者のADHDと。東京~九州で、遠距離介護しています。私1965生。介護しながら母娘関係をおさらい、修復しています。

亡猫の恩返し

「今日は誕生日だから、半日は人のために時間使おうと
畑の野菜を親戚や職場の方に配りました」


仲のいい友人が誕生日だったので
お祝いをメールしたら、こんな返事が来ました。
尊い。尊すぎる。愛の人だ。素晴らしいものに触れてすっかり高揚したわたくし。
彼女の爪のアカがほしい。


同じ日、私の亡父の誕生日でもありました。
普段は母にあらためて伝えることはありませんが、せっかく実家に一緒にいることだし、
「今日はお父さんの誕生日だからお祝いしようね」と提案すると
「そうね。お誕生日。お祝いね」と母。
3分後には
「ええと、お父さんの誕生日はいつだっけ?」ときます。
大丈夫だ、母さん。おれ、一生ずっと耳元でささやくから、
安心してどんどん忘れていいからな。

 

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ご近所さんから頂戴したお芋をふかして、父にお供えしてから、母娘でいただいて。
父が好きなのは、“ふかし芋”ではなく、“芋の天ぷら”なのですが
そのへんはご愛敬…。明日は芋の天ぷら、作ろう。


残念ながら、今、母の心を占めているのは、
父の誕生日ではなく、以前ともに暮らしていた黒猫のタンゴからの“恩返し”です。
帰省した日に、母がそれは嬉しそうに言いました。
「あのさ、この間聞いたの。
ペットって死んでから、生きているとき以上に、
大切にしてくれた人に恩返ししてくれるんだって」。


父が末期がんの闘病で入院し、この家に母ひとりになったとき、
ひとりぼっちの母をそばで支え続けたのがタンゴ。
父が亡くなってからもずっと、10年を母に寄り添ってくれました。
母は、そのタンゴからの恩返しを期待しているらしい。
この話、今回帰省してから、日に5回は聞いています。
そう語る母がしあわせそうで、ほほえましくて。

本当は、恩返しを期待しているのではなくて、
そんなに近くにいるんだと、あらためて誰かに言われたのが嬉しかったんでしょうね。
「今の優しい時間をもたらしてくれたのが、タンゴだったりして」とか。

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今もダイニングの一角で母を見守り続けるタンゴ。もともとは私が飼っていましたが、母がひとりになってしまうので、タンゴに私が「お母さんの面倒をみてほしい」と頼みました。そして、タンゴ、大阪から九州にお引っ越し。ADHDで難聴の母と暮らすのは、タンゴにとって大変なこともたくさんあったと思いますが、よく務めてくれました。10年以上を母とともに暮らし、2003年、タンゴはダイニングテーブルの上で、母に看取られながら亡くなりました。遺骨は、母がいつか旅立つときに棺の足元に入れ、母のお供をさせることになっています。