認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

高齢母の恋

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母自身の色恋に関しては、
わりと本人から聞いているほうじゃないでしょうか。
こういうのは、母娘ならではのコミュニケーションかもしれません。
昔から父に関する色恋の不平不満も、よく承りましたw。
まあ、父に対して、色恋にまさる不平不満はおそらくなかったと思われます。
しかもそれらは父にとって
ほとんど言いがかりに近いのでは…と、父を気の毒に思います。


父が亡くなって30年近いので、最初の10年は
「再婚しても全然いいよ?」「子どもに遠慮せず再婚したら?」
とは言っていましたが、どなたともそこまで進展することもなく
最近は恋も全くしていないようです。


父と結婚する前に母がおつきあいしていた初恋の君は、
少し前まではまだご存命で、
年に一度くらい電話があると母から聞いていました。


母が急性膵炎で入院した2018年の元日のこと。
元日に私が実家にいるのは、やはり30年ぶりに近く久方ぶりでした。
夜、私が母の入院先の病院から帰宅すると、家電話のコール音が。
出ると、一瞬の声のあと、無言に。
電話の向こうから「!!」みたいな感じが伝わってきたので
ハッハーン、初恋の君だ!と咄嗟に気がつきました。


その後は終始無言。先方の気配を窺っていると、音楽が薄く聞こえていました。
こちらに対して耳をそばだてている気配がします。
おそらく、電話に出た声が微妙に若く、
母ではないとすぐにわかって警戒されているのでしょう。
私もじっと先方の様子を窺っていたら
3分間くらいで切れてしまいました。


ほどなく再びコール音。
出てみるとまた無言電話でした。薄い音楽の感じが先ほどの方だとわかります。
きっと、いろいろ確かめたくて心残りなんだろうな。
私も何も言わないままでいたら、今度は1分くらいで切れてしまいました。


母の体調がよくなったときに
「母さんが入院した元旦の夜、
きっと初恋の君から電話があったと思うよ。
無言電話が2回続けてかかってきたから、あの方ではと思ったんだけど」
と言うと、「ああ、そうかもしれないわね。まだお元気だったのねぇ」と、母。


以来、電話はない様子です。
母に尋ねると、「きっと亡くなったんだろうね」と淡々としています。
非常にドライです。そんなものなのかな。


あのとき、勇気を出して「失礼ですが、◎◎さんですか!?」
と伺ってみればよかったかしらと少し思っています。