認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

老いらくの恋なの? 詐欺なの??

先日のこと。介護帰省中の兄から奇妙なメッセージが飛んで来ました。

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ちょっとわかりにくいですね。
要約すると
亡くなっているはずのTさんから母宛に実家に電話があった。
「僕のこと声でわかります? 覚えてますか??」と言ってるらしい。

Tさん、生きとったんかーい!

Tさんは、母が父の前に付き合っていた、地元学生時代の同窓生。
私が小学校高学年で、九州に引っ越したくらいから、
自宅にたまの電話が来ていたようです。
当時母から話だけは聞いていました。男衆には絶対内緒の恋バナでした。
あくまでも母情報なので、脚色している可能性もありますが、
  ◎Tさんが時々連絡してくる。Tさんは妻帯者で奥様ご健在。
  ◎「会いましょう」と誘われるけどそんなことはしない。
    「あなたは奥さんを大切にしなさい」と説教する。
  ◎父亡きあと、正月にはたいてい電話がかかって来る。
とまあ、こんな感じ。


一度私は、実家でひとりでいたときに
Tさんと思しき人からの電話をとったことがあります。
元日の夜の無言電話でした。
いや、最初なんかおっしゃったのを、私が聞き漏らしたのですが、
私の声を聞いた途端に相手がピタッとしゃべらなくなりました。
母と違う声に気づき、警戒したのでしょう。
私ははじめ気づかずに、「もしもし、もしもし、もしもーし」と話していましたが
相手は無言。2分くらいつながっていたかと思いますが、切れました。


そのあとで、すぐまたかかってきた。
間違ったのか、確認したくなったのでしょう。
今度は私も何も言わず、先方の気配に耳を澄ませました。


はっはーん、これがTさんか。
母と私と声が違うから、こちらの様子を窺っているんだろうなと察しました。


当時入院中の母には、かかってきた電話のことも話しました。
ところが翌年も、翌々年も、お正月に電話がかかってくることはありませんでした。
「病気だと言ってたからいよいよ亡くなられたんだろうね」と母。
母娘の間では「亡くなった」と認識していました。


というTさん。生きとったんかーい!?(再び。ご存命はうれしい!)

一応兄にはロマンスの旨、話しました。しかし、
かつての地方公共団体窓口での勤務経験から
兄の妖怪アンテナが立つそうです。いわく、

  ◎母が電話で会話しているのを聞いていたら
    母は詳細情報をすべて自分の口からしゃべっている。
    うまく誘導されていると考えられる。高齢者が騙される手口と重なる。
  ◎兄自身も電話口のTさんの声を聞いた。
    八十代のじじいの声じゃないぜ。もっともっと若い。かなり怪しい。
  ◎母さんも気持ち悪いと言っている。

ので、「着信拒否してもいいか?」

ちょっと、八十代の母の淡すぎるロマンスに思いを馳せて
「そこまでしなくてもよくね?」と言ってみたものの、
責任取れないし、最終的には
「兄さんの妖怪アンテナに従います」ということにしました。


「母さん、気持ち悪いと口では言っていても
確かにちょっと、まんざらでもなさそうではあるんだ。
まあ、かかってきた電話は着信拒否に指定したよ。
別の電話からかかってきたらつながっちゃうけど」だそうです。


いろいろあるな。もやっとしました。まあいい。
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ところで日曜日の母。
衆院選の選挙速報の都合で
今日の大河ドラマは7時過ぎから始まりますよ」と伝えたら
ごきげんでした。
今日はせっかく作ったエビチリを焦がしてしまったそうです。
鍋を火にかけたまま、リビングのTVを見に来ちゃったそうな。
大事にならずよかった。
火をかけたらその場をはなれてはいけません、母さん。

ひとりで暮らしていたらいろんなことがありますね。
それが生きるということですね。