認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

高齢者向け住宅改修のヒント

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母86歳の年(2019年)に行った住宅改修についてまとめました。
介護保険の被保険者になることで、制度の適用があることは知っていました。
しかし私が母に「公費のサポートがあるから、手すりをつけよう」と言っても
母は「そんなのいらない!」と強く言い張っていました。
そんなわけで、私にとっては少し遠いところにあった
高齢者向け住宅改修。

 

私たちが相談した、工事を担当してくださった工務店さん(男性)は
「今やっておけば、いずれかならず“便利だ”と喜ぶようになる」と
おっしゃっていました。が、
施工後半年でここまで恩恵に浴するようになるとは思いませんでした。

市区町村により、対応は異なるそうです。以下は東京都の場合。
(外部リンク)
介護保険の住宅改修と高齢社会対策区市町村包括補助事業の住宅改善との比較」

http://PDFhttps://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/jiritsu_shien/jutaku.files/190516hikaku.pdf


実家の市では、事前に市に申請し、認められると、
支給限度基準額(20万円)の範囲内でその改修費の7割から9割分を支給
(償還払い)されます。


【きっかけ】別の補修工事のついで
経年劣化で門扉がゆがみ、開閉がおぼつかなくなり、
地面にセメントではめ込んである石もはずれて危なくなっていたのを
母が「修理する」と思いきりました。

お世話になっている工務店さん(男性)に連絡したところ、
すぐ下見に来てくれました。
そこで「門扉や地面の補修はもちろんやるとして、
この機会に高齢者用の住宅改修工事を施工してはどうだろう」という話に。

私はもともとしたかったので、渡りに船。
母は「使わない。いらない」の一点張りでした。
母を上手に説得してくれたのは、工務店さんと、
あらためて住宅改修工事の下見を行った際に立ち会ってくれたケアマネさんでした。


【説得】信頼できる人の言葉がカギ。友達情報
母の強固な「いらない」砦を崩してくれたのは、
工務店さんのアドバイスです。
実はその工務店さんは、母も行っていた地域のボランティア活動に参加されていて、
母とは互いによく知る間柄。母からの信頼も厚かったのです。
その彼が、「いらない」とかたくなな母に向かって
「1丁目の◎◎さんも階段に手すりをつけたら、本当に便利になったって喜んでる」「なんでもっと早くしなかったのか、後悔してるって言ってたよ」
さりげにこの辺の情報が、かたくなだった母に浸みたようでした。

 

【実施箇所】
「がっちり買いましょう」的に予算内に収める

あらかじめ私の希望を伝え、そのリクエストをもとに、
どんな製品をどんなサイズで入れるかを決めるための詳細の下見があります。
前述したとおり、ケアマネさん立ち会いのもと、
工務店さんが中心となってチェック。見積もりの作成もあります。
こうした下見や施工はすべて、
私が実家にいるとき、スケジュールを合わせて行ってくださいました。

■屋外 門の外階段。階段といっても4段。
「いらない」と言っていた母。
下見時点で、母は自分の上りやすさ(衰えた体力を補足するもの)として手すりを捉えていました。
プロの視点は事故防止の観点です。
「事故防止」と言われても、母にはのみこめないようでした。
しかし「アスファルトの外階段は危険度が高いので最優先でつけるべき」と
工務店さんに強く推されました(実際その通りだった)。
「ここに手すりがあると、お友達が来たときもホントに助かるよ」という
工務店さんの言葉も、母に響いたようです。

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■屋内 1階と2階をつなぐ階段手すりを継ぎ足し(L字型)
もともと1階ののぼり始めから中盤までには手すりがあり、
「すごくラク」と母のお気に入りでした。
工務店さんは、「落下事故防止には、2階から降りるところにこそ手すりが必要」と
これも強く推されました。
母は当時まったく必要を感じていませんでしたが
外階段手すりとともにプロのアドバイスに従いました。
工事から半年。この手すりがなくてはたちゆかないほど、
毎日お世話になっています。

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■トイレのL字型手すり
これも母はまったく必要を感じていませんでしたが、工務店氏に、
「最後の最後まで自立してトイレに行くために、あったほうがいい」。
この言葉も響きました。
おそらくこのときまで、母も私も
「いつか、自分でトイレに行けなくなる日が来るかもしれない」リスクを
ちゃんと考えたことがなかったように思います。
そしてあると、やはり母、使っているようです。

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■浴室の段差にI型手すり、浴槽にも横手すり
浴槽の手すりは、工務店さんと、ケアマネさん&私の見解が分かれたところです。
うちは浴槽横に人が座れるスペースがあります。
工務店さんがここに手すりを付けたくなるのはわかるのですが、
以前私が特養で働いていた経験から、この段差がとても使いやすいはずと思いました。寝た人を起こし、ベッドに一度腰掛けてもらってから、
車いすに移動してもらう“型”を思い出すのです。
一度ここに座らせて、方向転換したら、
もし母の体の自由がきかなくなっても私が入浴介護してあげやすい…。
ケアマネさんも「この段差は貴重では?」という
私の妄想に強く同意してくださいました。

たぶん、毎朝、ベッド⇒車いすの移動をされる方は、
同じように感じるんじゃないでしょうか。

ここは工務店さんと意見が分かれましたが、
介護のプロの意見を尊重してもらった形です。
モデルさん、ありがとう!

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普通に考えると、今座っているところに、逆U型をつければいいのでしょうが
ここが温存したかったスペースです。

※玄関は、以前から段差解消用の手すり付き階段を導入していたので 
 引き続き活用することになりました。


反省点(あとから「ここもつけるべきだった」と反省したところ)

① 勝手口のことを完全に忘れていました。そしてこの段差が結構あるのをどうすればいいのかと悩んでいます。結構デンジャラス。

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② 洗濯ものを干しに庭へ出る掃き出し窓にも、I型の手すりが必要でした。全く気づかなかったな。掃きだし窓用には代替品の手すり&階段を自前で用意しました。
ところがちょっと奥さん、聞いてください。炎天下では階段が鬼のように熱くて、うっかり裸足で踏んで足の裏をやけどするかと思いました…。外履きサンダルを上に置くことでクリア。

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左)窓枠や窓そのものにしがみつくように降りていた母。
右)組み立て家具で付けた階段が、炎天下はToo HOTでびっくり。


③ 2階の狭いトイレにも手すりがあったほうがベター


などなど
付け忘れがないように、じっくり確認したほうがいいです。


そして妄想。
自分の権限でリフォームする機会があれば、完全バリヤフリーにして、バストイレ洗面所の水回りや台所など、車いすでストレスなく動ける家にしたいな。扉も全部スライドで開きやすくして。なーんて、考えていると楽しいですねぇ。