認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

母は自分の認知症をすでに疑っていました  

 

母の様子がおかしいことに私が最初に気がついたのは、たしか2015年の夏でした。

衣装持ちの母に、電話で

「お下がりをちょうだい」と頼み、送ってもらったときのことです。

到着した箱の中をあらためると、

たくさんの服がたたまれず、まるまってギュウギュウに押し込められていました。

広げると、汚れや食べこぼしのシミがついている服がほとんど。

何かが決定的におかしい…。

静かに、よくない変化が起こり始めている予感に

送られてきた服を抱いてしばらく泣きました。

 

秋に帰省したときに

「お母さん、一緒に病院に行こう。

きっと軽度の認知症のMCIで、今お医者さんに治療してもらうとたちまち戻るよ!」

と言って、母を激怒させました。

エベレストほどプライドの高い母のこと。

親を認知症呼ばわりしやがって。
お前なんて二度とこの家に帰ってくるな!」と、東京に追い返されました。

失敗、失敗、大失敗。

その後いけしゃあしゃあと、もう一度帰省した自分のことは褒めてあげたい。それまでの私なら、額面通りに受け取って、以来二度と寄りつかず、下手すると母が死ぬまで実家に帰らなかった可能性があります(初めてではなかったのです)。母娘関係はわりとこじれていました。

 

しかし、そのときの帰省時に、母の本の中にブックカバーをしているものがあり

「カバーしてあるなんて、ヘンなの…」と思ってなにげに開いたら

認知症の本だったのです。え…!?

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ブックカバーを開いてみると、認知症のHowTo本でした。

おそらく、本人は自分なりに異常を感じて

だからこの本を買って読んでいたんだなと思うと、せつなくてまた泣きました。

 

付箋の箇所や、マークしているところを開いてみると…。

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「自宅でお世話するには」。そうね。死ぬまでおうちにいると、言い続けていたよね。

 

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付箋だったり、折ってあったり。

物忘れか、認知症か、ひとりで不安だったろうね。

そして今もきっと揺れることがいっぱいあるだろんだろうね。

なんだ母さん、本当はすごく困っていたんじゃない

 

認知障害を起こしている方も、一日のうちに数時間、普通に戻っておられるときがあり

そのときにおかしな自分を認識するのが非常につらいと聞いています。

そんなの、しんどいだろうなぁ。

もしも母に“まだらボケ”が起きても、「大丈夫、大丈夫」と言ってあげられたらと思います。

ま、しょっちゅう失言大賞な私が申すのもアレですが

 

母は、介護申請に必要な、かかりつけ医の受診のほかには

診察を受けておらず、認知障害に対する投薬もありません。

かかりつけ医の先生も、「遠距離介護ですけど、うちでみたい」という状況を

おおらかに肯定してくださる先生でよかったです。このご縁は

最初に紹介していただいた、社会福祉協議会のご担当者のおかげです。

同じくケアマネさんも、わざわざ母とつながりの少ない、遠くの施設にお願いできました。

「初めまして」とご挨拶してくださったケアマネさんも

本当はボランティア活動をする母をご存じで、

「でも『初めまして』で通しますからね」と、初対面を演じてくださいました。

周りのみなさんが
母の自尊心を重んじてくださることがありがたい
です。

 

今後も認知障害のことで、お医者様を受診することは当分ないと思います。

できれば一生このままだといいなぁ。

のらりくらりと、母の気ままなひとり暮らしに
おつきあいできれば、しあわせ。

余談ですが、その後母に
「お母さんは認知症じゃなくて、ADHDだと思うから
物忘れも安心してていいよ、
だからそのことではお医者さんには行かないよ
と伝えています。おそらく母にふんわり伝わったのは太字のみ。
それでいいと思っています。うちはうち。