認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

ご近所さん談、少し前の母のいい話

f:id:huku1910:20211011181301p:plain
先だっての介護帰省時に、
我が家の生け垣をお向かい夫さんが剪定してくださって、
そのアシスタントさせていただいたときのことです。

【過去記事です】

 お向かい夫さんには、剪定作業や生け垣の消毒などしょっちゅうお世話になっています。
彼の植物を育てる腕前はセミプロ。
そのほか手先がたいへん器用で、
町内の方に相談されれば、お望みの棚をDIYでササッと作ってあげたりもなさっています。
先日は依頼されて公民館にスカットボール台を作ったとかで
剪定途中にその写真を見せていただきました。

プロ顔負けの仕上がりです。そのまま売れそうなほど。スゴイ。
そんなスキルを惜しげもなく放出し、
ごくごく自然に普通に、自分の力を誰かに貸してあげる。
善意があふれているというか、人との垣根がひく~いというか。
私にはできないかも。尊敬します。


作業の途中で、ふと、
「なにがきっかけでそんなボランティアをされるようになったんですか?」
と伺うと、驚いたように
「え!? きっかけはお宅のお母さんよ!」と言われて、キョトン。


お向かい夫さんが仕事を退職して、「時間ができるな、何しようかな」と思っていた矢先、
母に「地域ボランティアを一緒にやりませんか」と誘われたのがきっかけだそうです。
そのうち地域ボランティアのほかに、母と一緒に、
特養のボランティアにも参加されるようになりました。


また、ご向かいさんは、大病をされたお母様を他県から呼び寄せて、
一緒に暮らしていらっしゃった時期があるそうです。
共に暮らしたはいいけれど、知らない土地でお母様がなじめずにいたところに
うちの母がよく遊びに伺って、お母様の話し相手をさせていただいたり、
しばしば地域の高齢者イベントにお誘いして、外に連れ出したそうで。
お母様の状態も改善し、明るく笑うようになったとおっしゃっていました。
「そんなわけだから、おかあさんには足を向けて寝られんの!」


びっくりでした。やるなぁ、母。
そんなことは母から聞いたことはなかったし、
残念ながら今はおそらく覚えてもいないことでしょう。
覚えていてくださる方がいて、よかったですね、母さん。


当たり前ですが、私が知らない時間を母は生きてきたわけで
活躍してたんだなと思ってちょっと胸アツでした。
もしかすると母は今、
自分の蒔いたタネのたわわに実った果実を収穫して、
幸せなのかもしれないなぁ。

「私が作った台でスカッとボールをやっているから、お母さんも公民館に来たらいいのに。楽しいよぉ?」と、お向かいさんが母を誘ってくれました。ただ、そのハードルは母にはまだまだ高くて。
自分が取り組み始めて、今も続く地域高齢者イベントを、母は軽く避けています。自分がリーダーをしていたから、管理される側に回るのがまだ割りきれない様子です。デイサービスなども同じく。プライドが、アレみたいです。
民生委員さんはそのへんの複雑な母の心模様をよく理解されていて、「ムリに参加しなくてもいいわよ。あんなに元気に活動されていて、自分が指導されるのはイヤっていうのはわかるわぁ」とおっしゃってくださるのがありがたいです。母は母のスタイルを模索するしかありません。わたしができることは、母が手にした母の果実を大事にすることかな。

やだもう楽しそう…。私にもできそうだし。