「今日も無事に過ぎました。
ありがとうございました」と、Alexa越しの母。
今日はまちのデパートに出かけ、
うちに帰って、いろいろ書き付けていたそうです。
思わず、「母さん、私のこと、すごくいいように褒めて書いてくださいね。
何の気なしに、意地悪なことを書いているのを見つけてしまったら
すごくつらくなりますから」と言うと、ニコニコしていました。
馬耳東風。
まあいい。
バタバタだった9月の介護帰省時のこと。
テーブルの上に5冊も6冊も散らばっている
母の便せん(母が書き付け用。ADHDのせいか、同時進行でいろんな便せんに書き付けます)を片付けようと
どれが新しいのかを確かめるために開けたらこれが出てきました。
怒りに満ちて書き殴られています。
ええと母さん、これ、私に見せるために書いていますよね?
赤の強調点が呪い感半端ない。
こわいよう。
日付は今年の3月26日。
母は、私が帰京後すぐに、お隣とお話しした際に
聞きたくなかったことを聞いてしまった模様です。
私も母に聞かれたくないトピックでした。
もしも自分が母の立場なら、
ご近所に自分のことを家族が相談されているなんて知ったら
屈辱的に感じることでしょう。
それでも、遠距離介護している身としては
もはや家庭内で母の「物忘れ」を隠すレベルではない…と、
自分の中でいろいろ言い訳しながら
ご近所に挨拶にまわっています。
「やっぱり怒るよね~」という印象です。
だって仕方がない。だって
カミングアウトは公共の福祉でもあると思っているので。
私がご近所なら、隣家に住む独居高齢者についての正しい情報が欲しい。
書き付け、怖い。そしてごめんなさい、母さん。
でも、見つけたからには私は隠します。
日付を頼りに時系列で考えると
この日付の前に、隣家から民生委員さんに
母のことでクレームが行っているので
母に対して、腹に据えかねたことがあるがゆえの
お隣さんの発言だったのかもしれません。
【5月8日の過去記事です】
それはそれとして置いておいて。
母はド短気ですから、イヤなことを聞いて、
私に対して、はらわた煮えくり返る思いだったことでしょう。
少し迷いましたが、
読み返して母の怒りがぶり返すと困るので
そっと便せんからちぎり、ナイナイしてきました。
母の殴り書きを、テキストで起こしておきます。
介護者はこれしきでヘコんではいけないと、兜の緒を締めて……。
■
「段々と記憶力等が落ちて来ている
隣近所に迷惑をかけるようなことに
なりはしないか心配です」
こんな言葉を聞くとましてや親子間のことを
第三者に言うとなると許せない部分がある。
身内の問題であり、
私の問題、人に(第三者に)言うべきことでない。
心して欲しいと思う。
隣から聞くとは許せない部分がある。
こんな問題を近所に相談することが許せない。
もってのほかである。
ましてや隣に相談、言語道断である。
親子とは名ばかりで他人に相談とは!
死んでも許すことはできぬ。
令和4年3月26日 母の氏名
たとえ親子でも許せぬことは許せぬ!
便せんは4枚あって、4枚目は日付が変わっています。
どうやらこれまた別件(娘へのクレームは同様)。
■
「様々な団体の長(おさ)たるもの
ボケけていてはつとまらぬ
子がボケを創るとは何事ぞ
決して許せるものではない」
令和4年6月4日 晴れ
いや~、けむたがられとるなあ!!
娘に怒り続けていたんですねぇ。
そりゃあ、おとなしくヘルパーさんを迎えることもなかろうな
とあらためて思いました。
それでも私はあきらめない。
母の視界の外側で、目印の旗をはためかせていきます。
そして母には変わらず笑顔で。
粛々と進めて参ります。
母さん、どうか早いところ、すっかり忘れてください。