認知症母の遠距離介護記録

91歳独居の母は要介護1。認知症で高齢者のADHD、片耳ろうからの両難聴。眼底出血による視野狭窄と視力低下。そして腰椎圧迫骨折!! 東京~九州で、遠距離介護しています。執筆者は1965生の娘。いろいろあるけど、まあいい!

「死んでも許すことはできぬ」by高齢母

「今日も無事に過ぎました。
ありがとうございました」と、Alexa越しの母。
今日はまちのデパートに出かけ、
うちに帰って、いろいろ書き付けていたそうです。
思わず、「母さん、私のこと、すごくいいように褒めて書いてくださいね。
何の気なしに、意地悪なことを書いているのを見つけてしまったら
すごくつらくなりますから」と言うと、ニコニコしていました。

馬耳東風。
まあいい。

バタバタだった9月の介護帰省時のこと。
テーブルの上に5冊も6冊も散らばっている
母の便せん(母が書き付け用。ADHDのせいか、同時進行でいろんな便せんに書き付けます)を片付けようと
どれが新しいのかを確かめるために開けたらこれが出てきました。

怒りに満ちて書き殴られています。
ええと母さん、これ、私に見せるために書いていますよね?
赤の強調点が呪い感半端ない。
こわいよう。

 

日付は今年の3月26日。
母は、私が帰京後すぐに、お隣とお話しした際に
聞きたくなかったことを聞いてしまった模様です。

私も母に聞かれたくないトピックでした。
もしも自分が母の立場なら、
ご近所に自分のことを家族が相談されているなんて知ったら
屈辱的に感じることでしょう。
それでも、遠距離介護している身としては
もはや家庭内で母の「物忘れ」を隠すレベルではない…と、
自分の中でいろいろ言い訳しながら
ご近所に挨拶にまわっています。
「やっぱり怒るよね~」という印象です。
だって仕方がない。だって
カミングアウトは公共の福祉でもあると思っているので。
私がご近所なら、隣家に住む独居高齢者についての正しい情報が欲しい。

 

書き付け、怖い。そしてごめんなさい、母さん。
でも、見つけたからには私は隠します。

日付を頼りに時系列で考えると
この日付の前に、隣家から民生委員さんに
母のことでクレームが行っているので
母に対して、腹に据えかねたことがあるがゆえの
お隣さんの発言だったのかもしれません。

【5月8日の過去記事です】

 それはそれとして置いておいて。
母はド短気ですから、イヤなことを聞いて、
私に対して、はらわた煮えくり返る思いだったことでしょう。

 

少し迷いましたが、
読み返して母の怒りがぶり返すと困るので
そっと便せんからちぎり、ナイナイしてきました。

 

母の殴り書きを、テキストで起こしておきます。
介護者はこれしきでヘコんではいけないと、兜の緒を締めて……。

「段々と記憶力等が落ちて来ている
隣近所に迷惑をかけるようなことに
なりはしないか心配です」
こんな言葉を聞くとましてや親子間のことを
三者に言うとなると許せない部分がある。
身内の問題であり、
私の問題、人に(第三者に)言うべきことでない。
心して欲しいと思う。
隣から聞くとは許せない部分がある。
こんな問題を近所に相談することが許せない。
もってのほかである。
ましてや隣に相談、言語道断である。
親子とは名ばかりで他人に相談とは!
死んでも許すことはできぬ。

令和4年3月26日 母の氏名

たとえ親子でも許せぬことは許せぬ!

 

便せんは4枚あって、4枚目は日付が変わっています。
どうやらこれまた別件(娘へのクレームは同様)。


「様々な団体の長(おさ)たるもの
ボケけていてはつとまらぬ
子がボケを創るとは何事ぞ
決して許せるものではない」

令和4年6月4日 晴れ


いや~、けむたがられとるなあ!!
娘に怒り続けていたんですねぇ。
そりゃあ、おとなしくヘルパーさんを迎えることもなかろうな
とあらためて思いました。


それでも私はあきらめない。
母の視界の外側で、目印の旗をはためかせていきます。

そして母には変わらず笑顔で。
粛々と進めて参ります。
母さん、どうか早いところ、すっかり忘れてください。